
未経験から地方の観光ビジネスへ。
最初の3ヶ月で、つまずいたこと・乗り越えたこと
「観光の仕事に興味はあるけど、未経験で大丈夫だろうか」——応募を考える人から、いちばんよく聞く不安です。だから今回は、きれいごとではなく、入って最初の3ヶ月で実際にぶつかる「壁」と、それをどう越えていくのかを、できるだけ正直に書いてみます。読んで身構えるより、「これなら自分も越えられそうだ」と感じてもらえたら、うれしいです。
1ヶ月目
「自然が好き」と「自然の中で働く」は、別物だった
観光やレジャーの仕事に憧れて入ってくる人の多くは、自然が好きです。ただ、最初の1ヶ月で気づくのは——「自然が好き」なことと「自然を相手に仕事をする」ことは、まったく別物だ、という現実です。
天気ひとつで一日の動きが変わります。晴れれば一気にお客さまが増え、雨が降れば予定していた作業が全部組み替えになる。雪が積もれば朝の準備が倍になる。都市部のオフィスのように「決まった時間に決まったことをこなす」リズムは、ここにはありません。最初は、この「読めなさ」に戸惑う人がほとんどです。
「最初の週末、想像の3倍お客さまが来て、頭が真っ白になりました。でも先輩が『今日は晴れたからね、こういう日は楽しんだもん勝ち』って笑ってて。あ、こういう仕事なんだって、その時やっと腹に落ちました」
乗り越え方は、意外とシンプルです。「コントロールしようとしない」ことを覚えること。自然や天気は思い通りにならない。だからこそ、起きたことに素早く対応する力が育ちます。1ヶ月もすると、多くの人が「読めないのも、まあ面白いか」と思えるようになります。
2ヶ月目
「何でも屋」であることに、最初は戸惑う
地方の観光施設の仕事は、役割がきっちり分かれている都市部の職場とはだいぶ違います。接客もすれば、設備の点検もする。SNSの更新もすれば、繁忙期には現場で汗もかく。2ヶ月目には、この「何でも屋」っぷりに、戸惑う人が出てきます。
「自分は何の専門家なんだろう」と不安になる時期です。前職で一つの分野を深めてきた人ほど、この「広く何でも」にアイデンティティが揺れることがあります。
「前職は事務職で、ずっとパソコンの前でした。こっちに来て、ある日は予約管理、別の日は草刈り。最初は『私、何屋さんなんだろう』って。でも3ヶ月くらいで、施設全体が見えるようになって、それが逆に強みなんだと気づきました」
乗り越え方は、視点の切り替えです。「広く関わる」を、欠点ではなく武器と捉え直すこと。一つの施設の全体を見渡せる人は、地方ではとても貴重です。接客で拾ったお客さまの声を、すぐ翌週のサービス改善につなげられる。現場とウェブ運営の両方を知っているから、施設の魅力を的確に発信できる。この「横断する力」は、専門特化したキャリアではなかなか手に入りません。
3ヶ月目
「地域に溶け込む」という、見えない課題
3ヶ月目の壁は、仕事の中身というより「人」と「土地」に関わるものです。地方の観光ビジネスは、地域の人たちとの関係の上に成り立っています。地元の農家さん、近隣の宿、自治体の担当者——こうした人たちと信頼を築けるかどうかが、長く働くうえで効いてきます。
都会の感覚で「仕事だけきっちりやればいい」と構えていると、ここで少しつまずきます。逆に、地域の行事に顔を出したり、地元の人と世間話を重ねたりするうちに、ある日から急に仕事がやりやすくなる瞬間が来ます。
「最初は『よそ者』感がありました。でも地域の清掃活動に出たり、地元のお店に通ったりしてるうちに、名前を覚えてもらえて。半年後には、地元の人が『うちの孫も連れてくわ』って言ってくれた時は、本当にうれしかったです」
これに特効薬はありません。ただ言えるのは、焦らず、顔を出し続けること。3ヶ月で完全に溶け込む必要はありません。「この人は逃げずにここにいるな」と思ってもらえれば、関係は後からついてきます。
3ヶ月を越えた人が、よく言うこと
最初の3ヶ月は、正直に言えば、楽ではありません。読めない天気、何でも屋の働き方、見えない地域との距離。でも、この時期を越えた人が口を揃えて言うのは、「思っていたより、ずっと自分の裁量が大きい」ということです。
都市部の大きな組織では、自分の一手が施設や地域にどう響くか、なかなか見えません。地方の現場では、自分の工夫が、お客さまの笑顔や地域の変化として、目の前に返ってきます。この「手応えの近さ」が、3ヶ月を越えた人を、ここに留まらせている理由のように思います。
未経験であることは、まったく問題ではありません。むしろ、決まったやり方に染まっていない分、新しい視点を持ち込める。私たちが探しているのは、完璧なスキルを持つ人ではなく、最初の3ヶ月の壁を「面白がりながら」越えていける人です。
文:XPG 採用広報チーム|本記事内のスタッフの語りは、これまで現場で実際にあった声をもとに再構成しています。
